こんにちは。上原です。今日は更年期の自覚症状として関節痛やこわばりは意外と多いというデータをご紹介します。下のグラフをご覧ください。
Szoeke et al; Climacteric. 2005 Mar;8(1):49-55これはオーストラリアの45ー55歳の女性について、更年期に自覚する症状をアンケート形式で調査した結果です。こちらを見てみますと、
更年期の自覚症状としては関節痛やこわばり(Aches or stiff joints)が最も多く、51.7%という結果でした。有名なホットフラッシュは30%程度です。更年期症状として関節痛やこわばりというのは思ったよりも多いと感じる方が多いのではないでしょうか。しかしその事実はあまり知られていないのもまた事実で、一般的にも医療者の間でもあまり注目されていないため、更年期関節痛を原因不明の関節痛として様々な病院を転々とする患者さんも多いのが現状です。
そんな状況を打破するため当院では更年期関節痛外来を開設したわけですが、来院して下さる方がとても多いのと、その方々がホルモン補充療法によってすっかり良くなる様子を見てとても嬉しく感じています。
実際、関節痛を主訴に当院を受診された更年期女性109名のうち、90名(82.5%)が更年期関節痛、11名(10%)が関節リウマチと診断されていました。慢性的な関節痛やこわばりを感じるとまずはリウマチを心配する方が多いと思いますし、リウマチを鑑別することは非常に重要ですが、実際には
リウマチよりも更年期そのものによる関節痛が圧倒的に多いということがわかりました。
このことが広く知られるようになり、関節痛で悩む更年期女性があちこちの病院を受診しなくてもすむようになることを願っています。